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寒水魚:傾斜 [CD]

寒水魚

寒水魚

  • アーティスト: 中島みゆき
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックコミュニケーションズ
  • 発売日: 2001/04/18
  • メディア: CD

1.悪女/2.傾斜/3.鳥になって/4.捨てるほどの愛でいいから/5.B.G.M./6.家出/7.時刻表/8.砂の船/9.歌姫/


 私が一番最初に買ったCDではないかと思う。久しぶりに聞いてみて、CDの前にLPレコードも買ったかもしれないと思った。このアルバムを買った時のお目当ては「悪女」だった思う。しかし、アルバムの「悪女」はシングルで大ヒットした「悪女」とはアレンジが違っていてがっかりしたことを覚えている。それでも、このアルバムは私のお気に入りである。「歌姫」は歌詞を覚えて、何度も何度も口ずさんでいたように思う。
 私が中島みゆきさんのファンになったのはラジオで彼女の「オールナイトニッポン」を聞いてからである。リスナーからの面白い葉書とみゆきさんのコメントも良かったのだが、エンディングで読む少し暗めの葉書とそれに対するみゆきさんのコメントを聞いて彼女の優しさが好きになった。その優しさはこのアルバムでは「傾斜」の歌詞に表れている。

傾斜10度の坂道を
腰の曲がった老婆が 少しずつのぼってゆく
紫色の風呂敷包みは
また少しまた少し 重くなったようだ
彼女の自慢だった足は
うすい草履の上で 横すべり横すべり
のぼれども のぼれども
どこへも着きはしない そんな気がしてくるようだ
(「傾斜」中島みゆき)

 社会的弱者の心に共感できる彼女が好きだった。自分が弱くても彼女には決して見捨てられない。そんな気がしたからだろう。もちろん、どちらかと言えば強くなった今でも彼女のことは好きである。

誰かの娘が坂を降り 誰かの女が坂を降り
愛から夜へと人づたい
のぼりの傾斜は けわしくなるばかり
(「傾斜」中島みゆき)

 幸せな人と擦れ違うイメージが浮かんでくる。皆は楽な下り坂なのに自分だけ苦しい上り坂。その傾斜はだんだん急になってくる。社会の象徴として聞こえてくる。みゆきさんがどのようなイメージでこの歌詞を作ったのかは分からないが…。

 「傾斜」は次の歌詞の所で歌声のトーンが変わる。

としをとるのはステキなことです そうじゃないですか
忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか
悲しい記憶の数ばかり
飽和の量より増えたなら
忘れるよりほかないじゃありませんか
(「傾斜」中島みゆき)

 これを「希望」と解釈するか「諦め」と解釈するかは聞く人しだいだろう。私は心で泣きながら無理に明るく振る舞っている人が心に浮かんだ。


寒水魚:【傾斜】【捨てるほどの愛でいいから】【時刻表】【砂の船】【歌姫】


タグ:中島みゆき
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コメント 2

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Cana

「傾斜」のうたの
いしいさんがおっしゃる、トーンがかわってからの歌詞
「としをとるのはステキなことです」以降を
よく、口ずさんでいます。
あたしには、これは
希望ときこえます。

また、あたし自身
過去は、もうほとんど思いだせないので
この歌詞は、あたしにとっては
真実に思えます。

中島みゆき とても好きです。
by Cana (2005-08-24 04:07) 

いしい

Canaさん、お久しぶりです。ブログはいつも拝見させていただいてます。
「傾斜」のサビの部分の歌詞の解釈、人それぞれですね。(^_^)
男性と女性とでも違うかも…。
年をとることに対する抵抗は女性の方が強いでしょうから。
それから、やはり歌う人のイメージの影響はあります。
中島みゆきさんが歌うと「強がり」に聞こえてしまいます。(^_^;)
最近のみゆきさんのシングルは「希望」のイメージが強いですが、
当時のみゆきさんの歌はとことん沈んでますから…。
Canaさんが歌えば「希望」に聞こえそうな気がします。
by いしい (2005-08-24 11:47) 

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