コドモのコドモ [本]
新聞で紹介されていて、いつか読もうと切り抜きを持っていたのだが、ようやく買って読んだ。
新聞に紹介されていた絵を見た時は大人っぽい子が親や周りの大人に逆らって子を産み育てる話だと思っていた。紹介されていたのは次の台詞の部分である。
「その子は誰?」
「決まってんじゃん」
自信に満ちた大人っぽい笑顔だった。しかし、読みはじめると主人公の春菜はとんでもない子だった。とんでもないというか「普通」の小学5年生で、生意気だし男の子と喧嘩はするし親に反抗したり甘えたりする11歳の少女だった。その少女が幼なじみのヒロユキと「くっつけっこ」遊びをしたことが原因で妊娠することになる。少女が妊娠に気づくのは1巻の後半である。すぐに子が産まれて育てる話になるかと思ったら、出産は3巻になってからである。それまでは妊娠が主題の物語というよりも、姉の親友や同級生の父親である産科医などに出会って成長する物語である。1巻の終わりでは初恋の話もある。初恋相手がヒロユキでないことで三角関係のようになったりもする。その他にもいろいろなことが起こって成長する。本の帯には次のように書いてある。
幼いヤツラの愛いっぱい、
友情いっぱい、
モンダイいっぱいの物語!
そんな感じの漫画である。春菜の成長にも感動したが、同級生など他の登場人物の成長にも感動した。春菜の妊娠はヒロユキと二人だけの秘密だった。それが仲の悪かった同級生の美香に知られてから同級生たちが急速に成長して行く。感動いっぱいの物語である。
担任である八木先生の変化も興味深い。最初は生徒思いの良い先生に見えた。学級崩壊になるような生徒に囲まれて気の毒に思えた。それが性教育を提案するところからおかしくなりはじめる。ジェンダー問題に取り組んでいる人たちの暴走と同じように暴走する。人間として成熟していれば良かったのだが、心がまだ未熟だったから他の教師や生徒の母親たちからのプレッシャーでストレスが溜まり、生徒への態度も悪くなってくる。生徒も八木先生を見放す。その八木先生が変わるのは生徒たちが先生に逆らって運動会のメンバーを決め、運動会での生徒たちの団結を見てからである。生徒を自分の思い通りに操ろうとしていた先生が生徒たちの力に気づく。そして先生が確実に変わるのはストーカーになった元恋人から生徒たちに助けてもらった時である。その時に春菜が出産したことに気づく。新聞で紹介されていたシーンに続く。次の日、教室で生徒の話を聞き、初めて生徒たちの「先生」になる。変わらなければ私は八木先生のことを嫌ったままだったかもしれない。
ストーリーはハッピーエンドである。最終話は「オトナのコドモ」。12年後の話である。運動会のシーンから感動の連続だったけど、最終話でも感動させてもらい、感動したまま読み終えた。
最初は春菜にも誰にも共感できなくて嫌になるかもしれないが、私も買って損したかと思うほど嫌になったが、最後まで読んで欲しい漫画である。人の成長を見るのが好きな私には買って得したと思える漫画だった。
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