生きるススメ(戸田誠二、宙出版) [本]
戸田誠二さんの最初のコミックス。インターネット上に公開されている作品は既に読んでいて本を買おうかどうかずっと迷っていた。実は買って手元に置いておきたかったのだが金銭的に余裕が無くて別の本を優先して買わずにいた。ようやく思い切って買ったのだが、買って良かったと思った。
本の帯には次のように書いてある。
嫌になったり、くじけたり。
それでもあなたがいるだけで、 日々はこんなにも愛しい
インディーズコミック界の奇才・戸田誠二が描くヒューマン・ショートコミック、待望の単行本化!!
インターネット上に公開され、大反響を呼んだショート作品に描きおろし二本をくわえた、全30作品を収録。
描きおろし作品は「雨のち星」と「片づける」。しばらくインターネット上で読んでなくて、どのような作品が公開されているか忘れていたので、一番最後のページの説明を読むまで描き下ろしであることに気付かなかった。最初の作品は「Making World(世界の作りかた)」最初の一コマがカラーで女性の裸。表表紙はこの絵を参考にしたのかもしれない。ただ、表情が全然異なる。表紙の表情は真っ直に前を見つめて力強い感じだが、漫画の最初の一コマは途方に暮れたような感じの表情である。意識しているのかしていないのか分からないが、この表情だったわけは最後の一コマを見て分かったような気がする。
掲載されている作品は順に「Making World(世界の作りかた)」「リニューアル(再生)」「原動力」「掟」「わるい子(Bad girl)」「雨のち星」「クロ(Kuro)」「クロ(Kuro)」「小さな死(Small Death)」「2009年の決断(Decision in 2009)」「花(Flower)」「人生」「優劣(Not equal)」「よしよしってやって(You are a good girl)」「一卵性」「家族」「アトムの光(Atom)」「スマイル¥0(Smile free)」「片づける(tidy up myself)」「恋人(Lover)」「遠隔操作(Remote Control)」「オシドリ(m.duck(マンダリンダック))」「そんなあなたが好きよ(I love my daugther.)」「し・た・た・か(She is a nasty girl.)」「Knife(ナイフ)」「登校拒否」「恋人」「Don't trust over 30(30歳以上の人間は信用するな)」「幸せ」「黒の歩み(Walk in Black)」「ラスト・ムービー(Last Movie)」「あとがき」。
同じタイトルの作品があるが、別の作品である。「あとがき」は出版が決まるまでの経緯を2ページの漫画にまとめたものだが、笑えるオチが付いていた。
掲載された作品をまとめて説明するのは難しい。クスッと笑える作品があったり、哲学的に考えさせられる作品があったり、様々である。人の弱さや醜さを正直に描いている作品が多い気がする。どの作品も登場人物に対する愛が感じられる。だから私は戸田誠二さんの作品が好きなのかもしれない。
絶版になった「唄う骨」と「化けの皮」以外は全て持っている。