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空が灰色だから(阿部共実、秋田書店) [本]

空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス)

空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス)

  • 作者: 阿部 共実
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2012/03/08
  • メディア: コミック

空が灰色だから 2 (少年チャンピオン・コミックス) 空が灰色だから 3 (少年チャンピオン・コミックス) 空が灰色だから 4 (少年チャンピオン・コミックス) 空が灰色だから5(完結)(少年チャンピオン・コミックス)


 全5巻の内、2巻まで買って読んだ。本の裏表紙に次のように書いてある。

10代の女子を中心に、人々のうまくいかない日常を描くオムニバス・ショート12篇。
コメディか、ホラーか、背徳か、説明不能の“心がざわつく”思春期コミック誕生。

 朝日新聞の紙面で紹介されていた時にも似たことが書いてあったように思う。その紹介に引かれて買った。想像していた漫画とは違ったが、これまでに読んだことのないストーリーに思えた。「説明不能」という表現は確かに当てはまる。説明しにくい。
 静かに不条理な日常を描いているのかと思っていたのだが、基本的に登場人物のテンションが高い。傍にいたら疲れそうである。思春期の女子が中心なので、現実もそんなものなのかもしれない。NHK教育で「中学生日記」という素人が出演するドラマがあったのだが、そのドラマの登場人物のテンションも高かったような気がする。そして、不条理な日常を描いているというよりも、変な登場人物による変な出来事を描いている印象である。
 裏表紙の紹介に「心がざわつく」とあるが、確かに心がざわつくストーリーが多い。読んでいる途中で結末が想像できない。終わり方に驚くことが多かった。感動する展開を期待したら裏切られる。2巻までで感動したのは第3話「空が灰色だから手をつなごう」、第7話「ひとりぐらし」、第14話「おはよう」、第21話「こんなにたくさんの話したいことがある」くらい。この漫画が普通とは違うと最初に感じたのは第1巻の第2話「お前は私を大嫌いな私が大嫌い」を読んだとき。主人公を一般的な女子高生だと思って読んでいたら、途中で「何か変だぞ」と感じた。その変な状態はエスカレートして最後に壊れる。そんな終わり方にしたことに驚いた。他のストーリー読んでいたら第6話「今日も私はこうしていつもつまらなそうな顔してるあいつとつまらない話をして日を過ごしていくのだ」で同じ傾向の主人公が登場する。そして第10話「奴を見てる私を奴が見てる」でまた第2話や第6話と同じ傾向の主人公かと思っていたら、最後に見事に裏切られた。まるで読者を勘違いさせようとしたかのようである。2巻でも第2話や第6話と似た傾向の主人公が第24話「世界の中心」で登場する。これらのストーリーはどのように思いついたのか、主人公にモデルがいたのか気になる。
 2巻まで読んで、感動したわけではないが強く印象に残ったストーリーが3つある。第9話「夏がはじまる」と第18話「信じていた」は似た結末を迎える。実際に起こっていそうなストーリーで、主人公の気持ちを追いかけて読んでいると主人公を責める気持ちになれないが、結末は主人公が責められる展開で切ない。第16話「金魚」は風刺だろうか。主人公に少し共感した。ところで主人公は最後にどんな顔をしているのだろうか。

 この漫画は分かりやすい結末を求めている人には向いてない。第12話「ガガスバンダス」、第17話「こわいものみたさ」、第19話「黒」のように、読者が置き去りにされる結末もある。
 この漫画は登場人物に共感して読むのではなく、登場人物を観察する気持ちで読むのが良いかもしれない。もしも共感できる人が多いとしたら、私は人の心を知らな過ぎるのかもしれない。

 私は感動できる作品を求める傾向があるので、第3巻~第5巻は買おうかどうか迷っている。ただ、どんなストーリーが載っているかは、とても気になる。


タグ:阿部共実

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