300文字小説 3編 [その他]
不思議なレストラン
そこはとても不思議なレストランでした。
一人の客が入ってきました。
「リトグリノアシアトをください」
「承知しました。しばらくお待ちください」
店員が答えて料理を用意します。
「お待たせいたしました。こちらがリトグリノアシアトです」
「やっぱりリトグリはいいね。ありがとう」
客は満足して帰りました。
レストランにいた他の客もお礼を言いました。
「やっぱりリトグリはいいね。ありがとう」
店員が驚きました。
「いらっしゃったのですね。ありがとうございます。またいらしてください」
実はこのレストランでは客の姿は見えないのです。そして、注文をしなくても店員の出した料理を食べられるのです。不思議ですね。
「不思議なレストラン」は東京新聞の「300文字小説」に2021年8月8日に投稿したものです。
落選したことで自分の才能の無さを再確認させられました。
落選はしましたが、同じような作品を他の人が作ったら悔しいので公開しておきます。
(「リトグリノアシアト」は投稿時には「リトグリの足跡」でした。また「こちらがリトグリノアシアトです」は「これからリトグリノアシアトをお出しします」でした)
以下の2編「青年と小さなレストラン」と「孤独なDJ」は「不思議なレストラン」を書いた直後に書いたものでしたが、「不思議なレストラン」が落選したことで当選する見込みが無いと判断して投稿しないことにしました。それでも同じような作品を他の人が作ったら悔しいので公開しておきます。
青年と小さなレストラン
小さなレストランを青年が覗いています。
「可愛い」
青年は中で働いている店員を見ていたのでした。そっと中に入って静かに座りました。店員の出した料理を食べながら店員の顔をずっと見ています。そして、閉店時刻に静かに帰りました。
次の日も次の日も青年はレストランに来て料理を食べながら店員を見詰めています。
ある日、青年は勇気を出して店員に話しかけました。
「今日の料理、美味しかったよ」
「ありがとうございます」
店員は笑顔で返事をしました。
次の日から青年はお喋りになりました。
毎日レストランに来て、店員とお喋りをしながら料理を食べました。それは店員が変わってからも続きました。青年は常連になりました。
孤独なDJ
「今週も聴いてくれてありがとう。また来週」
ラジオの生放送が終わった後に彼はため息をついて呟いた。
「今週もお便りが一通も来なかったな。聴いてる人はいるのかな?」
帰りにいつものようにコンビニに寄ってビールを買ってレジに行くといつもとは違う店員だった。
「電子マネーで払います」
「あの…もしかして、ラジオの…」
「えっ?…はい。そうですが、どうして分かったんですか?」
「声で…声が好きなんです。今日はバイトで聴けなかったんですけど、いつも聴いてます」
「ありがとう。これからも聴いてね」
笑顔で始めた翌週の生放送も一通もお便りが来なかった。
「今週も聴いてくれてありがとう。また来週。お便り、待ってまーす」
そこはとても不思議なレストランでした。
一人の客が入ってきました。
「リトグリノアシアトをください」
「承知しました。しばらくお待ちください」
店員が答えて料理を用意します。
「お待たせいたしました。こちらがリトグリノアシアトです」
「やっぱりリトグリはいいね。ありがとう」
客は満足して帰りました。
レストランにいた他の客もお礼を言いました。
「やっぱりリトグリはいいね。ありがとう」
店員が驚きました。
「いらっしゃったのですね。ありがとうございます。またいらしてください」
実はこのレストランでは客の姿は見えないのです。そして、注文をしなくても店員の出した料理を食べられるのです。不思議ですね。
「不思議なレストラン」は東京新聞の「300文字小説」に2021年8月8日に投稿したものです。
落選したことで自分の才能の無さを再確認させられました。
落選はしましたが、同じような作品を他の人が作ったら悔しいので公開しておきます。
(「リトグリノアシアト」は投稿時には「リトグリの足跡」でした。また「こちらがリトグリノアシアトです」は「これからリトグリノアシアトをお出しします」でした)
以下の2編「青年と小さなレストラン」と「孤独なDJ」は「不思議なレストラン」を書いた直後に書いたものでしたが、「不思議なレストラン」が落選したことで当選する見込みが無いと判断して投稿しないことにしました。それでも同じような作品を他の人が作ったら悔しいので公開しておきます。
青年と小さなレストラン
小さなレストランを青年が覗いています。
「可愛い」
青年は中で働いている店員を見ていたのでした。そっと中に入って静かに座りました。店員の出した料理を食べながら店員の顔をずっと見ています。そして、閉店時刻に静かに帰りました。
次の日も次の日も青年はレストランに来て料理を食べながら店員を見詰めています。
ある日、青年は勇気を出して店員に話しかけました。
「今日の料理、美味しかったよ」
「ありがとうございます」
店員は笑顔で返事をしました。
次の日から青年はお喋りになりました。
毎日レストランに来て、店員とお喋りをしながら料理を食べました。それは店員が変わってからも続きました。青年は常連になりました。
孤独なDJ
「今週も聴いてくれてありがとう。また来週」
ラジオの生放送が終わった後に彼はため息をついて呟いた。
「今週もお便りが一通も来なかったな。聴いてる人はいるのかな?」
帰りにいつものようにコンビニに寄ってビールを買ってレジに行くといつもとは違う店員だった。
「電子マネーで払います」
「あの…もしかして、ラジオの…」
「えっ?…はい。そうですが、どうして分かったんですか?」
「声で…声が好きなんです。今日はバイトで聴けなかったんですけど、いつも聴いてます」
「ありがとう。これからも聴いてね」
笑顔で始めた翌週の生放送も一通もお便りが来なかった。
「今週も聴いてくれてありがとう。また来週。お便り、待ってまーす」